白狐のアリア
一章 歌姫見習い
 昔。まだ人が弱く、世界の端で細々と生きつないでいた時代。

 世の表舞台には、数多くの妖怪達が立っていた。

 数多いる妖怪を束ね、率いるのもまた、力のある妖怪だった。

 犬、蜘蛛、実体のない幽霊であったりと様々だが、
 その中のひとつに、化け狐がいた。

 数ある妖狐の中でも頂点に君臨する、九の尾を持つ妖狐。


 名を、白尾天響九尾の狐(はくびてんきょうきゅうびのきつね)。


 後の世に名を知らしめる白面金毛九尾の狐(はくめんきんもうきゅうびのきつね)、
 またの名を、玉藻(たまも)御前の実の兄であった。
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