新居にて
「早く美玲とオレの新居に帰りたいよ」
「ふふ。待ってるね」
「休憩終わるからまたかけるよ」

電話を切ると、大河内くんが口を開いた。

「彼氏さんからですね」
「うん。そうよ」
「美玲さんの引っ越しの日に、急な出張になるなんて、実は面倒くさくなって逃げたんじゃないんですか?」
「司はそんな男じゃないから」
「挙げ句の果てに、会社の後輩に引っ越しを手伝わせるんですから」

大河内くんは、いつもの愛嬌タップリの笑顔で言った。

「だって…。大河内くん、引っ越し屋で昔バイトしてたって聞いたから」
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