理想の恋愛関係
「里桜、どうかしたのか？」

「あ、冬矢」

里桜さんはホッとした様な表情になりながら、私を彼女の夫に紹介してくれた。



でも結局、何も聞けなかった。

里桜さんは、なぜか私と話したくない様子だったから無理に会話を続ける事は出来なかった。


それからも、彼女は夫の高遠冬矢とずっと一緒だったからしつこくする訳にはいかなかった。


その後、パーティー会場の端で、優斗君と青いドレスを着た里桜さんが深刻そうな顔で話しているのを見たけれど、私が入り込める雰囲気では無くただ嫌な予感だけが募っていった。


あんな顔の優斗君は初めて見た。


里桜さんと、何を話していたんだろう。


気になりながらも、なぜか聞けずに日々を過ごし、ある日その理由を優斗君本人の口から聞く事になった。



「どうしても、忘れられない人がいる。婚約の話は無かった事にして下さい」


私にとって突然過ぎる別れの言葉に、目の前が暗くなった。


すぐに言葉が出て来なくて、私は呆然と優斗君を見つめた。
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