グッバイ・ティラミス




「…あ、次の授業いかなきゃ。」

「……。」



忘れよう。
都合が悪いことは考えないようにする。



先生がなっちゃんって呼んでくれて、少しだけ私にしかわからない程度に特別扱いしてくれて。
それだけで十分幸せじゃん。他に望むことなんかないじゃん。




「また金曜日ね。」



そう言って、荷物を抱え直して歩いていった背中を、ぼんやりと見つめる。


大きな、肩幅。
その大きな背中で、先生は中村先生と、これから築いていくであろう家庭を守るのかもしれない。



「……。」



次会うの、金曜日じゃないし。授業だし。授業じゃなくても、どうせ隣のクラスの担任してるんだから、会うし。


私はどろっとした感情を見ないようにしながら、先生の背中から目を離した。





















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