(……私、何ドキッとしてるの?)

顔が熱くなるのがわかる。

里桜は冬矢に見られないように、ドレスを見るふりをしながらその場を離れた。

その時、

「冬矢」

甘さを含んだ魅力的な女性の声が聞こえて来た。

里桜と冬矢が振り向くと、奥の扉から現れた女性は微笑みながら近寄り冬矢のすぐ目の前に立った。

「早かったのね」

(……!この人……)

その様子を、里桜は呼吸をするのも忘れたように凝視した。

二人並んで立つ姿に見覚えがあった。

冬矢の家に移り住んだ初日に一度だけ見た事がある。

(この人……冬矢の愛人)

里桜は、身体が震えるような衝撃を受けながら、言葉もなく立ち尽くした。

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