酒場から大通りに出て右に、人ごみをかき分けて進む。


商人たちの威勢のいい声が飛び交う市場の通りで、ジェイドはひたすら歩いていた。

道ゆく人々が晒された碧の髪を見て、こちらへ驚いた顔を向けてくる。

しかしその無遠慮な視線を気にすることなく、彼女の足はせわしなく動く。

いつも仏頂面なその顔は、珍しく苛立ちを見せていた。


…思えば、私がここまでルトに怒るというのは、初めてだ。

一方的に怒りをぶつけ、こうやってひとりで出てきてしまったが。


話は、昨日の夜にさかのぼる。


そうして今朝から今まで、ずっと私はあのような態度だったのだけれど。

…仕方、ないじゃないか。


あんなことを、言われてしまっては。





酒場から宿へ戻り、ふたりで息をついていたとき。


私もルトも酒を飲んでいなかったから、意識ははっきりしていたのだ。

けれど私は酒場の人々とたくさん話をして、あることが頭のなかをひたすら駆け回っていた。


あの酒場の人々のなかには、当然ミラゼやリロザ以外に、ルトと付き合いの長い人がいる。


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