「はぁ……」

机の上にひろげた教科書とノートに目をやる事もなく、ただボーッとしながらクルクルとシャーペンを回す。

お腹いっぱいになって部屋に戻ってからさぁ課題やるぞって気合い入れたのはいいけれど、どうしても集中出来ない。

頭に浮かぶのはご飯の時の会話ばかりだ。

あれから少し経ってからパパさんが帰ってきて、何時も通り三人でテーブルを囲むとその量の多さにパパさんは目を丸くしてた。

「おっ、今日は豪華だな~!」

そう言いながら大きなトンカツを一切れ頬張ってる。

そんなパパさんの様子を嬉しそうに見つめながらお母さんが口を開いた時だった。

「さっきまで浩介がいたから久しぶりに家族全員揃って食べれるって頑張っちゃったのよ。」

明らかにパパさんの表情が変わった。

笑顔が消えて箸まで箸置きに戻してる。

「何だ、居るのか?」
「いえ、出来た頃に出かけたみたいで……」
「あいつの事は気にしなくていいから。食事は三人分だけ作ればいい。」
「でも貴方……」
「いいから。ね?うん、このトンカツ美味しい!腕あげたんじゃないかい?」
「え、そう?」

さっきまでの朗らかな笑顔とは違う、明らかに貼り付けたような笑みを浮かべてパパさんは会話を続けた。

「パパさ……」
「ん?何だい?」
「……何でもない。」

明らかに話が逸らされてる。

判っているのにパパさんの有無を言わせない微笑みが私に言葉を飲み込ませた。

「未沙も、早く食べないと。せっかくのご馳走が冷めちゃうだろう?」
「そ、そうだね!」

そこからはまた何時も通りのご飯の雰囲気に戻ったんだけれど……

「間違いない、かな。」

家族が増えてから胸にわだかまっていた小さな疑問。

それが今日、私の中で確信に変わった。

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