昼食時の城内食堂が今日は奇妙な静けさに包まれていた。
 いつもなら城内官吏が一斉にやって来るので、かなりざわついているのだ。

 ヒソヒソ声は聞こえるものの、そこにいる人数に対してあり得ない静けさだった。


「ここに来るの久しぶりだけど、今日はやけに静かだな」


 うどんをすすりながら和成(かずなり)は問いかけた。
 その音が静かな室内に響き渡る。


「よろしいのですか? このような所でお食事などなさって」


 和成の向かいに座った慎平(しんぺい)が、冷めた目で見つめながら問いかけた。
 和成は思いきり顔をしかめると、非難するように慎平を睨んだ。


「”なさって”とか言うなよ」

「塔矢(とうや)殿でさえ敬語なのに、私がくだけるわけにはまいりません」

「塔矢殿だって俺と二人きりの時は今まで通りなんだよ。今は休憩時間だし、おまえも今まで通りでいいんだよ」

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