翌日、長い間和成の使っていた部屋に月海が引っ越してきた。

 荷物の整理が終わり、月海は自室前の中庭へと降りる石段に座ると、真新しい認証札を眺めた。

 これまで入ることのできなかった城内のほとんどの場所に入ることのできる認証札だ。

 どこか探検に行ってみようかと考えていると、後ろから声がした。


「もう片付いた?」


 振り返ると和成が立っていた。
 月海は慌てて立ち上がると頭を下げた。


「つい先ほど片付きました。あまり荷物もありませんし」
「そうなんだ。大変そうだったら手伝おうかと思ったんだけど」


 軽く言う和成に恐縮して、月海は激しく手を振りながら一歩退いた。


「君主様にお手伝いいただくなど、とんでもないことでございます!」

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