chocolate cafe

新しい出逢い


 朝、目が覚めると
 時計の針は8時を過ぎていて
 ももは飛び起きた。

 入学式は9時から始まるけど、
 遅くとも8時40分には
 体育館に入っていなければならない。


 ももの入学する学校は
 公立高校の遠山高等学校と言い、
 家から徒歩20分程かかるから
 8時20分には家を出なければ
 間に合うはずなどないし、

 何回か行ったことがあるだけで
 そんなによく覚えていないものだから
 本当に20分で行けるとは限らない。

 とにかく、急がなくては!

 
 ももは、自慢ではないが
 朝の支度は早いのだ。

 そして、まぁなんとか
 20分には家を出れたのだが...

 案の定道に迷ってしまって
 あたふたしてしまっていたのだった。

 
 そこに、自転車に乗っている
 ももと同じ学校の制服を着た
 端正整った綺麗な顔立ちをした人が
 ももの前を通り過ぎていった。

 けれど、少しすると
 その人はまた戻ってきて、
 ももに話しかけてきてこう言った。


「俺、遠山行くんだけど、
 行き先一緒なら乗ってく?」

 初対面の人の自転車に乗るのは
 ちょっと抵抗があるけど
 今はそんなこと言ってる
 場合じゃないので、
 もちろん断るわけがなくて...

「..はい、ありがとうございます...」

 この人を信じていいのか
 分からないけど、
 今は頼れる人がこの人しかいないし、

 それに、心の中で
 間に合うのなら何だっていい!

 
 そう思っていた自分がいたのだった。

 
 
< 17 / 24 >

この作品をシェア

pagetop