俺の事どう思ってる?!
 舞奈を家まで送り、自宅に着いたのは午前2時過ぎになっていた。



 ジャケットを脱ぎネクタイを外すと、滑り込む様にソファーに座る。



 まだ全身が舞奈の温もりを覚えている。自然とさっきの状況が思い出される。



「あれは反則だよなぁー」



 頬を触りながら呟く。



 目をつぶり溜息がとめどなく出てくる。あの男に腕を掴まれているのを見た時の感情が思い出せない。



 嫉妬だったのか…



 憎しみだったのか…



 怒りは確かに存在していた。



 以前に舞奈の親友の香から「大人の余裕がありますよね」と言われた事があった。その時は冗談を言って笑いごまかしたが、内心は違っていた。



 独占欲が強く、嫉妬深く、理性は脆い。



 最後のは大人としてどうなのだろうか…。



「俺も十分ガキだよ…」



 誰も居ない部屋に渇いた笑いがこだまする。



 今日1日だけでも思い当たり節がありすぎる。相手が年下と言うことが、更に弥生の子供加減をあらわにしている。



 本人も自覚はしているが、実際を見ると体が勝手に動いてしまう。上げていた頭をぐったりと下げて抱えると、また溜息が出る。



「本当、余裕ねぇー」



 自分に呆れそのまま横になってしまったが、眠気は訪れない。



 そんな時思う事はただ1つ。舞奈は自分自身の魅力に気付いていない、弥生はそれに対しても悩みが絶えないでいる。



 見かけも勿論、彼女の内にある魅力に気付いた人は必ず彼女に惹かれる。しかし、舞奈は無自覚だから、注意しても理解出来ないのである。



♪ピピピピッー…♪



 静けさしかない部屋に機械的な音が鳴り響く。



 深夜2時…こんな時間に電話するのは1人しかいない。弥生は覚悟を決めて電話に出た。



「遅いっ!3コールまでに出てよねぇ」
「時間を考えて下さいよ…直さん」
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