ベストマリアージュ



あれから――


大地と彼女がどうなったのか、私はひっそりと気になっていた。


諦めが悪いと思われるかもしれないけれど、ずっと彼の隣にいた私の場所に違う誰かがいるんだと思うだけで、胸が苦しくなる。


彼と離れてからもう半年は経つというのに、自分が離婚したという実感が湧いてこない。


自分が少しだけ実家に帰ってきてるような、そんな錯覚に襲われていた。


両親は私の様子を見かねてなのか、大地のことや離婚については一切触れてこない。


かつて、私が住んでいたときと同じように、変わらぬ態度で接してくれていた。


ありがたいと素直に思う。


実家に帰る選択肢がなければ、離婚する決断は出来なかったかもしれない。


揉めに揉めてボロボロになってもまだ、しがみついて……


大地にはしつこい嫌な女だと、憎しみさえ持たせてしまったかもしれない。


実際、それくらいの方が、いつまでも引きずらなくてすむのかもしれないけれど、私は大地に嫌われたくなかった。


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