ストロベリーショートケーキ
事件、発生。 Side.H
「――おい、花井 要」



廊下を歩いていると、どこからか聞き慣れない声で呼び止められた。

振り向くとそこには、たしか佐倉と同じクラスの――……。



「……安達、だっけ?」

「……ああ」



長めの茶髪を揺らして、安達がうなずく。

俺は別段知り合いでもない同級生にどうして自分が声をかけられているのかわからなくて、思わず首をかしげた。



「あの。何の用?」

「おまえ、いい加減にしろよ。トーコのこと」



トーコ。その言葉に、俺は否が応でも反応してしまう。

つい、表情が険しくなった。
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