霧の中、蜃気楼のように浮かぶ桜。


ふわふわと桜の花びらは少女―――メルルの頬をなでる。


美しい桜色の腰まであるサラサラの髪。


薄い桜色のきれいな瞳の整った顔立ち。


霧の街セレッソ。


セレッソの街を何で知っていたかは分からない。


でも、私はそこに行かなければいけない気がした。



「……今……行くから……」



誰に言っているか分からない言葉。


でも、はっきりと意味を持つその言葉は、誰かに届いた。



『お前が救世主か?』


「……誰?」



頭にはっきりと響く声。


その声は、私に話しかけていた。



『俺の命はもうない』


「?」


『お前も異能力者か。どうか、セレッソの街を救ってくれ』


「……あなたは……誰……?」


『俺の名は、カイン。メルルに俺のクレストを授けよう』


「?」



私が疑問に思ったと同時に、左肩が痛くなる。


焼けるような痛み。


すぐに収まったけど、どうなっているか確認してみる。


そこには赤い紋章。


見ているとだんだん紋章は強い策薄くなり、黒い点になった。



『お前が願う時、力を解放しよう』


「?」