仕事場では東芝と共に時間を過ごすことが多い。

有紗が東芝の下についてから1年も経っていないが、肩を寄せ合うように図面を広げて話し合う姿はすっかり定番化されたものになっていた。

島と島の間に設置された作業台も兼ねた会議机を陣取って打合せするのと日常の風景だ。

「ここの部分からこの分岐まで。長さが微妙に足りないような気がするんです。」

「この間のテンションは?」

「CADで測る限りは問題ありません。公差もクリアです。」

「衝突実験の結果は?」

「まだ実験の申請していません。」

手帳を広げてメモをしながら有紗は熱心に東芝の下で 勉強を重ねている。

東芝もその熱意に答えるべく親身にアドバイスをしていた。

「作業が遅い。相手に隙を突かれる。」

「はい。」

やるべきことの優先順位を決めながら付箋を貼っていく。

有紗の広げた資料の中の1つが目に入った東芝は目を細めてそれを手にした。

「何これ。」

「あ、それは…」

言葉をつまらせた有紗に視線を流すと東芝は目で動きを制する。

迫力負けしてしまったが、有紗は今すぐにでもその紙を取り返したくてウズウズしていた。

それは他部署からの要望が書かれたメールの出力用紙で決して褒められる内容ではないからだ。

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