極上ラブ ~ドラマみたいな恋したい~

8  嵐の前の静けさ


拓海くんから告白を受けてから二週間が過ぎ、八月に入っても相変わらず暑い日が続いている。


今日の私はと言うと、朝から忙しくしていた。


なぜなら、明日から社員旅行のために出来なくなってしまう月初の請求書作成作業を、今日中に終わらせなければいけなかったからだ。


うちの営業所は毎年七月末に社員旅行に行っていたのに、なぜか今年は一週間ズレてしまった。


「月初は何かと忙しいから、止めて欲しいですよねぇ~」


未歩ちゃんが、隣の席で口を尖らせている。


「ほんとだよ……」


これには私も、未歩ちゃんの意見に賛成だ。


でもそんな文句を言ったところで、状況は何も変わりはしない。


大きな溜息をつき諦めてパソコンに向かうと、事務所のドアが勢い良く開いた。


「只今戻りました~。フゥ~暑い!! 菜都さん、お茶一杯くれる?」


そう元気よく事務所にやってきたのは、拓海くんだ。


「お疲れ様。お茶でいい? アイスコーヒーもあるけど?」

「うん。とりあえずは冷たいお茶で!」


給湯室に急ぎ冷蔵庫を開け、朝作って冷やしておいた麦茶を大きめのグラスになみなみと注ぎ、お盆に載せる。


それを持って事務所に戻ると、拓海くんは扇風機の前で汗を乾かしていた。


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