魔法トラブル

言われなくてもやるわ



「どう?僕、すごい?」

あれを倒したショウは私に子犬みたいな目 で私を見てきた。

すごい。

でも認めたくない。

「このくらい当然」

つい、意地をはっちゃう。

「ナツ」

小さいドラゴンが来る。

こいつはここに来る前、おっさんがくれた 使い魔。

もちろん、上手に使わせてもらうわ。

「やりなさい」

こいつにどのくらいの魔力があるのかを知 りたいしね。

そしてナツは小さい体から炎を出した。

「いいわ。すごい魔力を感じるわ」

ナツは隠れていたあいつを燃やした。

あいつは燃え尽きた。

「何これ?」

「何かの撮影かしら?」

「でも雰囲気が違くない?」

やっぱり人間には見えてる。

しょうがないな。

「メモリー・クラッシュ」

これで今のことの記憶全ては消えた。

そして人間は忘れる。

「行くわよ」

「やるじゃん。いーな。僕も魔法を使いた かった」

「なぜ、使えないの?」

なんとなく聞いちゃいけないってわかって いても。

知りたい。

「魔力がないんだ。普通の人間なんだよ」

無力な人間。

だが、努力をすれば。

それに値するものは返ってくるだろう。

でも所詮、人間。

我々、魔法使いには勝てない。

ならなぜ、魔法使いと同じ立場を欲しが る?

「……母さんが人間なんだよね。やになっ ちゃうよな」

すごい辛そうな顔。

私たちって本当に姉弟なの?

私ってどうして魔法使いなの?

私ってショウを傷つけてる存在だよね?

私は黙ってることしかできなかった。

「僕は僕なりに姉さんをサポートするつも りだから」

また、ニッて笑う。

その笑顔が辛いよ。

辛すぎて下を向いた。

「お願いだから。同情なんてしないで」

「同情なんて……」

見抜かれてる。

「僕はこれから魔力はなくても魔法使いの 上をいくんだ」

ショウはどれだけ強いの?

こんな気持ちにさせるのはショウだけ。

きっとショウは私の弟。

人間がたくさんいる中、私はショウに抱き ついた。

人間なんて大嫌い。

でもショウは特別。

「これからも私をサポートしてください」

私、人に頼むのはじめてかも。


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