狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「高橋さん」



結城さんの選んでくれたお店は三軒。

どこも会社から行ける距離だったし、私の希望した通りオシャレな雰囲気のお店だった。
ネットで、メニューやら評判、価格を見て決めた一軒のお店は、会社から歩いて10分ほどのところにあった。

予約した通り個室だし、料理もおいしいし、お酒だって飲み放題だ。
大人数の急な予約だったのにお店側は快諾してくれたし、店員さんの態度も気持ちいい。
洋室の大人数が入れるほどの個室はあまり見ないから、他の社員の人たちも褒めてくれた。
本当に探してくれた結城さんに感謝しないと。

だけど、そんな中でただ一点気になるのは。
どうして、企画課と合同の飲み会になっているんだろうって事で。


今日の予約を電話で入れようとした私に、結城さんが話しかけてきたのは先週金曜日の事。

社内では話しかけないでって言ったのに!
そんな顔をした私に、結城さんはにっこりと笑って用件を告げた。

『佐々山課長の結婚祝い、企画課もできれば参加したいんですが』と。


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