最近は日にちや時間の感覚がない。今日は何日で、あれからどのくらい経ったんだ?


……あの日、起きたら美雪は居なかった。

その理由はいくつも想像できて、だけど結局は想像だけで、真実はわからない。

酔った勢いだったことに嫌悪感を抱いてしまったか、心の内を晒したことで居られなく思ったのか。

その相手がオレということに後悔してる、か。

色々と考えたのちに、携帯を手にとったオレは、【美雪】と表示されたディスプレイを見るだけで、その先に進めなかった。


――ある、些細な過去を思い出してしまって。


大きな窓から射し込んでいた夕陽が落ちていくのを眺める。
アンティークゴールドの空を見て、連想したのはあいつだ。


神宮寺さん(かれ)の存在が、彼女をそうさせたのか――。


喫茶店で遭遇して、内心穏やかではなかった。
頭の中をいっぱいにさせてる相手との不意な再会の喜びと、その横に彼女の手を握る男の姿を見てしまったんだから。

でも、彼は正直、美雪の彼氏ではないとみてる。
“今ンとこは”――。
それは彼もそう言ってた。


手元のまっさらな紙を見ては思い浮かべる。


ああ、美雪に会いたいな。

捕まえられそうで、捕まえられない手は、一度彼女の温もりを知ってしまえば余計にもどかしい。

前にしたように、飄々と電話を掛けてみようか。

だけど、オレから連絡をすれば、その瞬間が最後になるんじゃないのか――本当のオレはこんなにもまだ臆病で、本気で欲しいときに動けなくなる。