カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
サンシャインイエロー


『宣戦布告、していい?』



要が今週中に本社(うち)に来る。

そのことを知ってからもう今週も折り返してしまったけど、もうとっくに打ち合わせの日は過ぎてるのだろうか。
そんなことを考えて、こうも落ち着かないものだなんて。

偶然にバッタリと遭遇してしまったらどうしよう。
でもここは会社だし、別に普通に挨拶を交わすだけよね。


それでも、次に顔を合わせる機会を神様がくれたなら。
そうしたら何か、動き出す気がする。

そう思うと――会いたい。


日にちも時間も敢えて確認はしてない。

賭け、みたいなものかもしれない。

普通に過ごすときの中、これだけの人の中から何度でも巡り逢える。
私の人生で重要なはずの相手なら、きっと……。



その日、いつもよりも早く外回りが終わった私は、缶コーヒーと万年筆特集と表紙にうたわれてる雑誌の入った袋をぶら下げて帰社する。

足元の少し前方に視線を落としながら歩き、見えてきたのは会社の入り口へと続く階段。

数十段ある階段を、外回り後に重いカバンと荷物を持って上り切ると、じんわりと体が熱い。

大きな入り口のドアが自動で開くと、いつも涼しい空気にぞくりとする。

エントランスも、特に周りを見ずとも、長年通勤しているから、目を瞑っていても通過出来そうなくらい。
そんな私は、なんとなく足元を見たままエントランスを抜けようとした。

ちょうどそのエントランスの真ん中あたりに差し掛かったときに、理由はわからないけれど、ふと足が止まった。


音なんかしたわけじゃないのに。

なんとなく、本当にただなんとなく、顔を横に向ける。


視線の先には、太く大きな柱から半分だけ見える、チョコレート色の一人掛けソファ。
そして、そのソファに座っている一人の後ろ姿をみて、さっきとは違う“ぞくり”とした感覚が私を駆け巡る。



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