カラフルデイズ―彼の指先に触れられて―
ベビーブルー


もう一度、コールを鳴らしてみたものの、やっぱり電源が入ってないらしい。


――バカ。何度同じことを繰り返せばわかるのよ。
携帯の充電ぐらい、社会人ならチェックしておきなさいよ。


心の中で悪態をつきながら、行き場のなくなった私は足を止める。
ふと、もしかして、本当になにかあったんじゃないか、と不安が過った。


……まさか、まさかね。でも、なんか危なっかしいアイツのことだから、もしかして本当に倒れてたりして……。


『危なっかしい』。


それって、この前私が言われた言葉じゃないの。
なによ。あんただって充分危なっかしいわよ。


居てもたってもいられなくなった私は、無駄足でも構わない気持ちで、来た道を戻った。


「……っはぁ……」


肩で息をして、遠くにみつけた部屋の明かりに、心底安堵する。
どんどんと近づく建物に、緊張しながら歩を進めると、見上げてみた窓にふたつの影を見つけて静止する。


――――誰か、いる。……“美央”?



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