【短編】俺の可愛い妹
-TAKE-
「武(タケ)ちゃーんっ!」
街中に響く少し高い声。
隣で歩く女が、俺より先に振り返り眉をしかめる。
俺は振り返らなくてもわかる声の主の顔を思い浮かべ、クスッと笑ってしまった。
「武、誰?」
「ん?」
細い腕をねっとりと絡ませ、無駄にデカイ胸を俺の腕にくっ付ける女は、しらばっくれる俺に、明らかに不機嫌になる。
「武ちゃん♪」
「元気過ぎ」
立ち止まる俺の目の前で、走って来て少し髪の乱れた梓衣(シイ)はニッコリと笑う。
そんな梓衣の頭を優しく撫でた。
俺を見上げる姿は、本当に可愛い。
「武、誰なの!?」
隣からヒステリックな声が聞こえて、やっと女に目を向けた俺は優しく微笑んで
「俺の可愛い彼女♪」
と、また梓衣を見つめる。