おかしな二人


「もう、随分寒いからな。明日から、それ着たらええよ」
「うん」

水上さんは、残りの水を飲み干すと、買ったコートをもう一度着て見せてくれ、という。
そう言った瞳は、リビングの照明が反射してキラキラと綺麗で、まるで太陽にかざしたビー玉のようだった。
あたしは、その瞳に見惚れながら、言われるままにショップの袋からコートを取り出し羽織って見せた。

「うん。ほんま、よう似あっとる」

まだ、酔っているのか。
水上さんは、コートを着たあたしを真っ直ぐ見ながら頷き、とても満足そうにほんのり口角を上げる。

その姿は、なんだかドラマのワンシーンのようで、まるで愛しい誰かを見つめているような感じだった。

あたしは、そんな風に見られていると感じた自分がとても恥ずかしくなって、思い出したようにクルッと一回転し、似合うでしょ。と少しふざけて笑った。

「あたしってば、何でも似合っちゃう」

えへへ、と更にふざけて、なんとなく漂う桃色な雰囲気を誤魔化そうと思ったのに、それでも水上さんは、よう似あっとる。と穏やかに、そして優しく呟くだけだった。


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