おかしな二人
気づいた感情と向けられた感情


                *


お店を出ると、外は驚くくらいの寒さだった。
ブルッと一度身震いして、コートのポケットに両手を突っ込む。
英嗣もダウンに顔埋めるようにして、寒さから身を護るような体勢をしている。

「寒いねぇ」

顔をクシャクシャにしてそう言うと、スッと右手が差し出された。

はて?

なんだろうと首を傾げると、手、あったかいで、とボソリ。

あたしは躊躇いながらもコートのポッケにしまっていた自分の片手を差し出した。
するとその手を握り、英嗣が自らのダウンのポケットへと導いた。

ドクドクと血液が、体中を駆け足している。
あたしの手は英嗣の手に握られたまま、彼のダウンのポッケにある。
けれど、これがどういう事を意味するのか、あたしは考えないようにしていた。

だって、あたしはただのお手伝いさんなんだから……。



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