その一枚がくれたのは、勇気と恋でした
勇気のご褒美
あの日の翌日、何度も引き返そうと思う気持ちを抱きながらも、彼の言葉が押し戻してくれたおかげで、演劇部の稽古に復帰することができた。

私の予想に反して、みんなは快く迎え入れてくれた。

部長が後ろから抱きついてきたときは思わず涙が出そうだったが、彼女の「これからだよ」という言葉が気を引き締めさせてくれた。



その日の夜、私は和中君にお礼の電話をした。

彼は「木ノ内さん自身が頑張ったからだよ」と、仕切りに嬉しそうに私の話を聞いてくた。


「放課後に部室に行けなくなるね」


不意にその言葉が出てきてしまい、私自身が少しだけ寂しくなってしまう。

自分の素直な気持ちを口にすることができ、そして、演劇部にも復帰できたというのにこの気持ちは一体何だろう。

そのどれもが彼のおかげだということに私は気付き、その彼と一緒にいる時間が無くなることへの気持ちなのだろうか。



もっと、彼と一緒にいたい···


「だったら、昼休みがあるよ。

それに部活が終わるまで···」


途中で彼が言葉に詰まってしまったが、その言葉に私の視界は明るくなった気がした。


「何?」


「ううん、何でもない。

放課後は稽古で忙しいだろうけど、昼でも朝でも部室は大歓迎だよ」


部室



私たちに特別な時間をくれる場所···



その特別な時間は部室から離れられないのだろうか。
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