契約妻ですが、とろとろに愛されてます

二つ目の婚約指輪

琉聖Side


用事を済ませて病室に戻ると、柚葉は点滴をしているもののベッドの上に起き上がって雑誌を読んでいた。顔色が良いことにホッと安堵する。


恋人の調子によって俺の気持ちも浮き沈みすることを最近知った。


「琉聖さん」


柚葉は雑誌を膝の上に置くと、俺に蕾の花が咲いたような笑みを向けた。


俺はベッドの側へ行くと、手に持っていた物を渡した。


「?」


片手にちょこんと乗った箱を見て柚葉は小首を傾げている。渡した箱は丁寧にラッピングされていてその包装紙は有名宝石ブランドのロゴが入っている。


「開けてみて?」


俺はベッドの端に腰をかけると、柚葉が顔をほころばせて包装紙をはがし、開けるのを見ていた。


「指輪……凄くきれいだけど……」


戸惑いの色を瞳に浮かべた柚葉は俺をじっと見ている。


「どうして……?指輪を……?」


「婚約指輪だ ニューヨークで買ってきたんだ」


プラチナの台に前回貰った婚約指輪よりはカラットは小さいが、クラリティなどは引けを取らず、箱の中でキラキラ輝いている。メインのダイヤを初め、ぐるっと小さめのダイヤが並んでいる。


戸惑った表情の柚葉に俺は箱を受け取り台座から指輪を取る。


「あの時……君を傷つけてしまっただろう?」


柚葉の左手をそっと掴むとダイヤの指輪を付ける。俺の頭にインプットされていた7号は柚葉の指にはめてみると少し緩いようだった。


「傷つけた……?」


何のことかわからないようだ。


「ゆずが婚約指輪の礼を言った時、別れたら売ればいいと俺が言っただろう?」


俺の言葉に柚葉が思い出した顔になった。俺は指輪がはめられた手を持って唇を付ける。


「あの時、車の中で君が傷ついた顔になったのを見たんだ 失言だったよ もう一度、一からやり直したいと思った」


「琉聖さん……ありがとう……あの時、がめつい女だと思われていることが苦しくて悲しくなったの」


柚葉は瞳を潤ませる。


「ゆず……泣かないでくれ……」


俺は柚葉の頬を包むようにして、指の腹で溢れ出す涙を拭った。


「もう一度プロポーズする 退院したら結婚して欲しい」


その言葉は更に柚葉を泣かせてしまい、なかなか泣き止まず俺は腕の中で震える身体を抱きしめていた。


少しして腕の中の柚葉は顔を上げた。


「すぐに元気になるからね」


柚葉が涙にぬれた瞳を俺に向けて微笑んだ。


なんて可愛いんだ……泣いた顔も怒った顔もどんな顔も好きだが、ゆず、君にはずっと笑っていて欲しい。


「あぁ」


俺も柚葉の笑顔に応えて微笑を返した。

< 148 / 307 >

この作品をシェア

pagetop