契約妻ですが、とろとろに愛されてます

病院

翌日の月曜日。


今朝も琉聖さんに病院へ行くようにと強く言われて、私は気が進まないながらも病院へ行く支度をした。用意の終わった私がリビングルームでバッグの中身を確かめていると、イタリア製のオーターメイドスーツに着替えた琉聖さんが姿を見せた。


いつも見ているのに、男の色気を醸し出すとでも言うのだろうか、スーツが良く似合う琉聖さんに見惚れてしまう。


「用意は出来たか?」


「え……?あ、はいっ」


慌てた私を見て、クッと喉の奥から笑い声がする。見惚れていたのがバレバレだったみたい。


「行こうか」


「行くって琉聖さんは会社でしょう?」


「病院に決まっているだろう?」


「一人で行けます 琉聖さんはお仕事があるでしょ?」


バッグを手にして、玄関に向かおうとした。


「一人で行かせるわけがないじゃないか」


先を行く私のバッグが琉聖さんに取り上げられる。


「でもっ お仕事に支障が」


「桜木が調整してくれるから問題ない」


しぶる私の背に手を添えて琉聖さんは玄関へ促した。

< 168 / 307 >

この作品をシェア

pagetop