Only One──君は特別な人──
「オレの家に来てくれるか?」

「もちろんだよ。どうしてそんなこと聞くの?」

「もえ、自分が言ったこと覚えてないんだな」

貴広は苦笑している。

「神戸とキスした家には来たくない。一緒に住みたくない。って言ってただろ?」

「あっ──」

「だからもえはオレの家に来てくれるかなと思って聞いてみたんだ」

そういえばそんなこと言った。かおりちゃんとのことで揉めたことすらすっかり忘れてた。

「もう、過去にとらわれたりしないもん。かおりちゃんとのことは気にしてないから」

「じゃああの家で…って、アパートだけど、一緒に住んでくれるか?」

──あたしが笑顔で頷くと、貴広の車は走り出した。




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