Only One──君は特別な人──
あたしが写メを撮っていると、貴広が「もえ」と呼んだ。

「何?」

「クリスマスプレゼントがあるんだけど。渡すまで目を閉じてて欲しいんだ」

「うん。分かった」

あたしが目を閉じると、掌に何か感触のいいものが置かれた。

「目開けてもいい?」

「いいよ」

そして、掌にあった物は小さな白い箱。

まさかこの中身は……。

「これ見てもいい?」

「いいよ」

箱の中身は、その、まさかだった。

「これ結婚指輪だよね?」

「そうだよ。もえが欲しがってたティファニーの指輪」

「……」

「──もえ、オレと結婚してくれる?」

貴広の言葉に返事が出来ない。

だって、あたしは指輪をもらった瞬間から、うるうるしていて、とうとう涙が溢れてきてしまったから。

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