優しい君に恋をして【完】

誤解





駅から出ると、

ぽつ、ぽつと、弱い雨が降っていた。



駅のコンビニでビニール傘を買おうかと思ったけど、

私は、優から借りたタオルを頭からかけて、

学校へと歩いた。


きっと傘よりも濡れるんだろうけど、

私にとっては、優のタオルの方が、

雨から守られているような、そんな気がした。




いつもよりも早く学校に着き、

教室で、真菜を待った。



「おはよう」



自分の椅子に座っていたら、

隣の席の男子に声をかけられた。


確か名前は......白......


あ、白石くんだ。





「おは.....よう......」




少し、警戒しながら挨拶を返すと、

白石くんは、自分の席に座って、

机にバッグを置いた。


「遠山さん今日は早いね」


「あ......うん、ちょっと」


白石くんのバッグは、少し雨で濡れていた。


「やべ、濡れた。


あ、遠山さん、そのタオル貸して」







< 42 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop