――あの人はどこにいるんだろう。本当にこの耐え難い痛みをとってくれるのだろうか……人間なんだから、そんなことが出来るわけないよね。

「ねえ、あの紫鬼って人は?」

まだ目を白黒させている清雅に聞いてみる。

「真白! 紫鬼は高貴なお方なんだ。私は呼び捨てにしているが、お前は様をつけるんだぞ?」

「え? こ、高貴なお方……う、うん。わかった」

清雅は真白が食べ始めると、ブツブツ何かを言って行ってしまった。

お茶碗の中身が食べ終わろうとした時、膝の上に丸いものが置かれた。

「えっ?」

おいしそうな梨を見て目を瞬かせる。

そして横を見ると紫鬼が立っていた。

「紫鬼……様?」

音も無く現れて驚くばかりだ。

――それとも音がわからないくらい夢中になって食べていたのだろうか。でも襖が開けば、誰でも気づくに違いない。

ポカンと紫鬼を見つめていると、冷たそうな整った顔の紫鬼が、小さく笑みを浮かべた。

――ちょ、ちょっとその笑みは……。

心を射抜かれるほどの笑みに、真白はドキドキと心臓が暴れ始めた。

――か、カッコ良すぎるんですけど……。