好きだったよ、ずっと。【完】
「ほら、一年前。春夜が紗央里、抱いて歩いてて…」



「あー、そうだな。似てんな」



この後、お互い無言になった。



そして、歩き出そうとした時。



「朱里…、に春夜…?」



前から声がして顔を上げると、戸惑いに満ちた顔の璃香が立っていた。



「璃香っ…!!」



「……わっ」



よっぽど、これを見られたくなかったのか、わたしは春夜に飛ばされた。



「おっと、大丈夫?」



思いっきり、尻もちを付くと思い覚悟していると男の声とともに、わたしは後ろからその人に助けられた。



「す、すみません。ありがとうござ……」



お礼を言おうと、顔を上げれば。



「前田…?」



「間宮くんっ!?」



当時、わたしの後ろの席にいた大学時代のクラスメイト、間宮聡<マミヤサトル>だった。
< 40 / 267 >

この作品をシェア

pagetop