With a smile
仕事2
会社に入って半年、苦手だった満員電車も、朝の人が歩くスピードにもやっと慣れ・・・。

「あっ、すみません」

言い終わる頃には肩がぶつかったサラリーマンは、遥か遠くまで流れていっていた。

まだまだだなあ、私。

苦笑いしながらも、歩道の脇に咲いた小さな花や、そこについたキラキラした朝露が目に入ってくる。

キレイだ。

うん、今日も仕事がんばろう。

「すみません」

「はい?」

声に振り返ると、背の高いサングラスの男の人がスーツケースを持って立っていた。

「五十嵐建設に行きたいのですが・・・」

「あ、はい、この先の右側です。よろしければご案内しますが・・・」

「いえ、大丈夫です」

頭を下げて去ろうとするその人に急いで言った。

「あのっ、私五十嵐建設の者です」

「あ、そうですか。ではお願いします」

その人は一瞬サングラスを外して笑顔を見せた。

ドキッとした。

サングラスの下の目はブルーだったから。

外人さんなの?

あまりに自然な日本語で全く分からなかった。


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