好き嫌い。

その2

「やぁだ、何ノリノリでへらへら笑いながら弾いてるのー、気持ち悪ぅ〜い!」


…知らない女子と一緒の、こうちゃんだ。


ピタリと手を止め蓋をする。


無視するに限る。こんな人。

立ち上がり横をすり抜けて廊下に出た。



「おい。」



知らん顔のまま教室へ向かっていた。


「おい!お前、無視すんなよ!」


ガッと腕を掴まれて、飛び上がるほど驚いた。


「わぁ!」
「なんだよ、無視しやがって。なんでやめるんだよ。続けろよ。」


こうちゃんがそう言う。
でもその後ろにいる般若みたいな表情の女の子。


「嫌。」


腕を振り払い、短く答えると踵を返して走り出した。


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