Treasure~もう一度、恋~
「あの、失礼ですけど、どちら様ですか?」

『あ、ごめん。名乗ってなかったね。
 あたし、鈴原レイって言います。』



鈴原レイ

確か、最近注目されている、女優さんだ。

モデル出身で、すごく綺麗な人だったと思う。

瞬とも、ドラマで共演していた気がする。



『…んで、そちらはどちら様?』

「あ…」



どうしよう

なんて、言えばいいのかな

結婚したとは言え、まだ公表していないことだし…



「あの、瞬くんの親戚で、たまに自宅のことを手伝いに来てるんです。」

『あ、そうなんだー!あたしてっきり…』

「え?」

『ん?あ、ううん。なんでもないです!』



鈴原さんの声のトーンから、棘が抜けた気がするのは、

きっと気のせいなんかじゃない。



「なにか伝言しましょうか?」

『ううん、大丈夫。明後日にでもまた連絡します。
 それじゃ。』

「はい、失礼します。」



受話器を置くと、自然とため息がこぼれた。



きっと、そう。

彼女は、瞬のことが、好きだ。



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