人知れず、夜泣き。


 しかし、1分も経たないうちに百花も戻って来た。

 「桜に接客して欲しいんだって。 どうする?? 嫌だったら理由付けて断ってくるよ」

 『無理する事ないよ。 悟くんはお客様だけど、それにしたってあんまりだ』と百花がワタシを気遣う。
 
 「行く必要ない」

 橘くんが、ワタシの腕を掴み、左右に首を振った。

 橘くんまで、こんなワタシを甘やかす。

 何を2人に甘えてるんだ、ワタシ。 

 いい大人が逃げてどうする。

 お客様が誰であろうと接客すべきでしょうが。 それに、

 「行く。 ワタシが1番高いヤツを売りつける」

 悟が彼女の為にどんなジュエリーを選ぶのか、見たいと思った。
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