人知れず、夜泣き。

 「・・・今日、シゴトの日だよね?? 今から戻れば半休で済むから。 来てくれてありがとう。 ワタシ、疲れたからちょっと寝たい」

 桜がオレに背を向けて布団を被った。

 布団からは、包帯に巻かれた頭が少し出ていて。

 その頭をそっと撫でた。

 「・・・もう、1人で泣かないって言ったじゃん。 オレの前で号泣するって言ったじゃん」

 「・・・日本語通じないのかな?? 『寝たい』って言ったつもりなんだけど・・・」

 「どうせ、オレがいなくなったら泣くんでしょ??」

 「泣かないよ」

 「じゃあ、泣くまで居る」

 「・・・・・・」

 桜が、観念したかの様に、オレの方に身体を向けた。

 桜の目には、零れんばかりに涙が溜まっていて。

 胸が、はち切れそうに痛い。
< 135 / 161 >

この作品をシェア

pagetop