人知れず、夜泣き。

 「木内さん、具合どう??」

 新しいマスクは、調剤薬局の薬と一緒の袋に入っていた為、医者には無事に行けた模様。

 そのマスクをつけてて、木内のベッドに近づく。

 「うん。 やっぱ医者の薬は効くねー。 明日はシゴトに行けるよ」

 確かに、昼間の電話の声よりだいぶ元気そうな木内。

 あ、そういえば、食欲ないかもしれない木内の為にゼリー買って来たんだった。

 「木内さん、何か食った??」

 「うん。 お昼にゼリー食べた」

 木内が既にゼリーえを食ってしまっていた為、オレのゼリーの出番なし。

 そっと冷蔵庫に入れておこう。

 でも、ゼリー食ったのは昼なんだ?? って事は、夜はまだなんだ??

 でもオレ、ゼリーとポカリしか買ってないしな・・・。

 ・・・作る??

 お粥くらいならつくれるんじゃね?? オレ。

 「夜ゴハン、作ってあげる。 お粥でいい??」

 やる気満々に腕まくりをすると、

 「・・・作れるの??」

 木内が不安そうに、そんなオレを見た。

 木内、オレの事なんか何も知らないくせに、オレを不器用な人間だと思ってやがるな。

 「お粥くらい誰でも作れるだろ」

 だってあんなモン、米ドロドロにすればいいだけじゃん。

 別に器用なわけではないが、そんなに不器用でもないし、お粥作るくらい楽勝っしょ。

 早速立ち上がり、キッチンへ。
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