庭に咲く梅の花も散り、代わりに桜の花が咲き始めた。

 頬を撫でるような優しい風はどこか暖かく春を感じさせる。

 そんなある日の事――。

「瑞希(みずき)さん、ちょっといいかしら」

 襖の向こうから母の声がした。

「……はい、お母様」

 読んでいた本に栞をはさむと襖を開けた。

「お父様がお呼びです。居間へいらっしゃい」

「はい……」

 そう言うと母の後を追って部屋を出た。

 長い廊下を渡り居間へ行くと椅子に座って腕組みをした父が待っていた。

「何ですか?お父様」

「ああ……とりあえず座りなさい」

 父に促され、向かいの椅子に腰を下ろした。

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政略結婚  離婚  眼鏡  お見合い  社長  イケメン  冷酷  敬語  財閥  大人の恋 

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