すぐに下ろしてもらえるかと思ったけど、京介君、私を担いだまま全然下ろしてくれなくて。

 私、我慢できなくなって声を荒げた。


「下ろして! 皆見てるやんか!」


「誰もいませんが」


 ……確かに。廊下は閑散としていた。人っ子一人いない。 

 バタバタ暴れる私の足を京介君が手で押さえ付け、私は京介君の背中側に頭を垂らしながら、何を言ったら解放してくれるだろうと頭を巡らせる。

 そうしてる間にも、京介君はエレベーターへとさっさと乗り込んで最上階のボタンを押してしまう。


「誰か来たら見るやん、こんなん!」


「見せたらいい」


「なにゆえに!?」


 エレベーターの中に誰もいなくてよかったと思いながら、私は京介君に嗄れるほどの大声で文句をぶつけた。


「はよ離せ! 栞ちゃん怪我してた! 栞ちゃん所戻るんやから離しい! 女の子に乱暴するなんてアンタは鬼か!! この老け顔め! 栞ちゃんに何かあったら絶対許さんからな!」


 ぎゃあぎゃあ叫び続ける私に、はーっと大仰な溜め息を吐いた京介君は、うんざりした口調で、


「……叫ぶな。煩い。全く、貴女は訳がわからないものばかりを昔から惹き付ける」


 疲れた顔でぼそりと呟いた。

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