流れるように耳元を通り過ぎる音に激しく怯え、四肢を拘束する男のコートを、知らず、私は握りしめていた。

 スクランブル交差点で信号待ちをする学生達の声、無言で行き交う人々の足音、車が通り過ぎる音、どこからともなく流れてくるクリスマスソングの音色。閉じた瞼からは陽の光が透けて見えた。

 髪を掴まれ上向かされて、噛みつくような激しさで唇を貪られる。

 息苦しさと不自然な体勢に身体が引き攣り、戦慄き、涙が滲んだ。逃げる舌を絡み取られて、京介君の口内へ誘い込まれてしまう。

 私の服をたくしあげた京介君の指先が、肌の上を探るように蠢いていて。

 非難の声も、意味をなさない言葉の羅列も、京介君の唇に吸い込まれ全て消えてしまう。頭が次第に霞みがかってくる。



 合わさった唇と、肌の上を卑猥に辿る京介君の指先に触発されて、私の中の狂暴な何かが蠢き出す感じがして――すごく怖くて。



 ――やめて、離して、お願いっ!



 隙間なくぴったりと塞がれた唇では、懇願の声も外に漏れることはなく。

 京介君が羽織った漆黒のコートで私の姿を隠し、意識が混濁するほどに貪られ弄《もてあそ》ばれる。

 体重を掛けられ、壁に縫い止められた背中が、ギシギシと悲鳴を上げていた。


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