背後の壁に逃げ道を塞がれながら、目の前で私を冷然と見据える京介君に追い詰められる。

 京介君と壁に挟まれた私は、パニックに陥った金縛り状態で、何とか言い逃れできないかと頭を巡らせていた。


「ま、待って、逃げたんちゃう、逃げてへん、えと、」



 逃げてないと言いながらも、逃げ道を探して視線はあちらこちらを忙しなくさ迷う。

 すると、ふっと京介君の手が視界を掠め、バンッと壁を叩く鋭い音がした。

 ビクッと肩を揺らして反射的に目をつむる。

 恐る恐る目を開けると、真横には京介君の腕。

 壁に手をついた京介君に、逃げ道を完全に塞がれてしまっていた。

 ビクつく眸で、縋るようにして京介君を見上げてしまう。



 ――どないしよ、どないしたら逃れられる?



 何を言ったらこの状況を回避できるのかと頭をフル回転させるんだけど。

 いい案など浮かばなくて、京介君から視線を引きはがせないまま、もうすでに泣きが入っていた。

 壁にぴとりと張り付いた時、お尻ポケットにある違和感に気づき、ハッとする。


 助かるかも知れない……!


「……逃げてない? わざわざ窓から飛び降りておいて?」


 京介君の眸が、何を言い出すのかと興味深げに瞬いた。


「ちゃうねん、ま、窓から飛び降りたんは、ちゃんとした理由があんのよ」


 引き攣り笑いを浮かべながら、目は京介君を見つめたまま、後ろに回した手のひらでポケットから携帯取り出した。


 ――最後に電話したのは、悠宇……。


 上手くいきますように――!

 感覚だけで愛用のガラケーをカシカシ弄る。

 私達の声を聞いてくれたら、状況がマズいって気付いてくれるはず!!

 祈るような気持ちで、私は通話ボタンをプッシュした。


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