「お父さん、ホンマに大丈夫なんやろか」


 後部座席に座らされた私は、黒のフィルターが貼られた後ろの窓に手を付きながら、馬淵邸を瞼に焼き付けるほどの強さでじっと眺めていた。

 だんだん小さくなる馬淵邸。

 大切な人をまた失うかもれないという不安に苛まれながら、馬淵邸が視界から消えてしまっても、私は窓に張り付いたまま後ろを見つめていた。

 そうしたら、京介君、大仰なため息混じりに呟いた。


「……本当に貴女は」


 呆れたような笑みを含んだ声に、私は京介君に目を向けた。


「父さんは大丈夫です。侍医の田村さんがそばに居ましたから。でも、貴女が父さんとの約束を破った時は。その時は、心臓が止まってしまうかも知れません。蘭奈さんと貴女、一緒に住むことだけを願っていた父です。蘭奈さんが亡くなってショックなのに、娘にまで拒絶されてしまったら――次は確実に心臓が止まるでしょうね」


 ――次はないのだと知りなさい。


 京介君のその言葉に愕然とした。


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