父の衝撃的「嫁に行け」発言から3日、私は特に変わることなく平穏無事に過ごしていた。

 あの発言は、実はボケた父の狂言でした。なんてオチではないかと吞気に構えていたのだが。
 それは、大学の講義が終わった時におとずれた。

「寧音、さっきの海洋水産学の講義で言ってた教授の言葉の意味、わかったか?」

 オレはちっとも理解できなかった。と、私の隣を歩く、高校からの腐れ縁である坂本浩紀《さかもとひろき》は、顔を顰めながら聞いてきた。

「あれは、水産物の安定供給の確保についての意見を、アジア諸国の水産事業との関連性を交えながら自分なりに考えてこいって解釈だと私は思ったけど」

 あの教授、話がすぐ横道に逸れるから、いつの間にか質問が行方不明になることが多々あった。
 私の答えに、浩紀は「ああ、そうか!」と、少年のような顔で破顔した。

「アイツ、言ってることがまるっきり意味不明なんだよなあ」

「そう? 結構、的確なとこ突いてると思うけどな」

「あの横道に逸れまくる授業で、要点を的確に理解できる寧音が凄い。もはやあの授業は暴力以外の何物でも無いとオレは思う。孫と行ったディズニーランドの話から、なんで突然中国海域の水質汚染の話題に話が飛ぶのか理解できないんだけど」

 教授の談義は何故横道に逸れまくるのか、という問題について話しながら、大学の門を出て駅へと向かおうとした、その時だった。

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