ここに在らず。


するとナツキさんは、私が返事に納得していないと感じたのだろう。


「まぁ…だから、あんたのその縋る気持ち、俺にも分かるって言ってんの。でも……まぁいいや。それはまた今度」


そう言うとナツキさんは「もうすぐ昼休み終わるんじゃね?」なんて時計に目をやった。つられて私も目をやると、確かにそろそろ終わりの時間がやって来る。

でも…今ナツキさんは何かを言おうとしていた。それは一体…


「ほら、サエ。また今度な」


そんな動こうとしない私の名前を態と呼んだのだろう。ナツキさんはきっと…ズルい人だ。


「…はい。また今度…」


なんて渋々返事をする私に、ナツキさんは笑ってみせた。笑っていたけれど、ナツキさんはその笑顔の裏側で何か考えを巡らせている…そう、私には感じた。

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