【完】泣き顔スマイル




「……はあ?」


無意識な言葉を溢して時計を見ると、時刻は17時25分を示していた。


窓から差し込む夏の夕暮れの光で目を覚ますと、華奢な脚を露わにして、勝手に借りたであろう俺のTシャツ1枚で床に寝転ぶマルが視界に映り込んだ。


その無防備な格好に、苛立ちが先立つ。


「(なにしてんのこの人)」


ベッドから降りると、無防備なマルの元に近づきしゃがみ込んだ。


「…………」


だから、無防備だって。



「マル」

「…ん…」

「床で寝てると背中痛めるよ」


なんで男の部屋でそんな安らかな顔して寝れんの。

前にも話したけど、こういうときマルの言う『好き』が小学生並みのものに思えてくる。





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