ここは確か、清司んちの神社?

 私が鳥居を見上げて佇んでいる隙に、ザクロは鳥居をくぐって境内に入っていた。私を振り返り手招きする。


「頼子、こちらへ」
「どうしてここに降りたの?」


 駆け寄りながら尋ねる私に、ザクロは穏やかに微笑んだだけで、そのまま先を歩いていく。
 いつもは後ろに従っているザクロが、先を歩いているのも奇妙だ。

 もしかして、清司が言ってたように言うこときかなくなっちゃったの?
 さっきのキスも私の意思は無視されていたし。

 不安に思いながらも、ザクロについて境内を黙々と進む。拝殿が見えてきたとき、その前に清司がいるのがわかった。

 最初にスーパーで会ったときと同じように、白い着物に水色の袴をはいて、袖にはたすきを掛けている。

 手には水の入ったペットボトルを握り、足元にも同じものがもう一本置かれていた。

 清司の傍らには、白い着物に緋袴の少女が控えている。スーパーで見た少女だ。まだ未成年だという清司の奥さんだろうか。

 艶のある長い黒髪をひとつに束ねて背中に垂らし、根元に白い紙を結んでいる。黒目がちの大きな目にあどけなさは残っているものの、凛とした和風美少女だ。

 約束もなく突然訪れたというのに、私たちの姿を見ても清司は特に驚いたような様子がない。まるで来ることがわかっていたかのように平然と声を掛ける。


「ザクロ、こっちへ来い」


 私は無視してザクロ?


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