情熱のラブ・  フォルテシモ
強烈な初対面
私は須藤樹奈。クラブシンガー。

金曜日の夜、店が混むのは普通だ。

そう思いながらオフィスへ向かった。

「失礼します。」

「ジュナ、最近客の入りがいいが、全てに目を通せない。クラブ内は照明も落としているし、何もないと思うが気をつけるように、いいな。」

「はい。」

田原マネージャーはいつも私に気を配ってくれていた。

「それから、外国人の一行が9時頃入る。テーブルは真ん前だ。目線を送るように。10時に一度オフィスに戻ってほしい。」

「なぜですか?」

「君が外している間はチャーリーがピアノを流すから大丈夫だ。」

「でも、どうして?」

「たぶんメッセージが入る。内容はわからないが。」

「どなたから?」

「予約を入れたその客からだ。」

私は彼の指示をよく飲み込めないままオフィスを出た。

自分の控え室へ戻りドレスを選んでいた。

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