きみの右手にうさぎエプロン
チョコと罪とそれからうさぎ。
 


がちゃ、がちゃがちゃがちゃがちゃ、バタン!



突然玄関からそんな音が聞こえたら、それは彼がわたしの部屋を訪ねてきた合図。
彼はドアの鍵穴から鍵を抜くのがへたくそで、いつもこうしてガチャガチャうるさく音をたてるから。

それから、ドアの開閉が、少し乱暴。いつか壊れちゃうんじゃないかってハラハラする。



「恵くーん?」


一応声をかけてみたけれど、返事はない。うん、やっぱり恵くんだ。

確信をもってキッチンから顔を出し、玄関を覗いてみれば。


「いらっしゃい、恵くん」

「……」


茶色の革靴を脱いで目隠しのパーテーションを回ってきたばかりの彼が、

今日もかすり傷やら小さな痣やらをくっつけた顔に不機嫌を滲ませながら、じろり、わたしを睨みつけてきた。



 
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