鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
ガミガミ煩いって課長、冴子さんに怒られるんだ。どうせ、ゲームばっかりとかそんなことで怒られるんだろうな。やっぱり私の方が大人だななんてちょっと優越感に浸ってみる。


「おいっ、今何考えてた?」


「別に。課長が子どもっぽいとか考えてませんよー」



ニヤニヤと笑って青信号になったから走って渡る。また、立ち止まったら面白いなと思いながら深まる夜の道を全力疾走すると、課長が後ろから追いかけてきて、いい年した大人なのに、夜の鬼ごっこが楽しかった。


「走るなって言っただろ」


先にコンビニのデザートコーナーに着いた私の頭をコツンとこつく課長。「すみませーん」と茶化すと拗ねてるし。どこまでギャップが激しいのよこの人。


また大量のデザートやお菓子を買い込んだ帰り道。信号で高校生のカップルとすれ違った。なんだか手をつないで幸せそうで微笑ましい。

でも、私たちだって一応、付き合っているんだよね?少しだけなら、私から勇気を出して手を繋いでもいいかな?

臆病だった気持ちは好きの度合いが上がって少しだけ欲張りで大胆な気持ちを引き出す。


「・・・あのさ、一つお願いがあるんだけどいいかな?」


後、一つの袋を二人で持っていたから、課長の手を繋ぎたいとそればかり考えていた私は、動揺して持っていた袋を離してしまった。買ったばかりのデザートやお菓子が道端に散らばった。
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